不妊症の原因として最も多いのは、排卵障害と卵管通過障害、男性の精子の異常です

一人の女性が生涯に産む子供の数(出生率)は年々減少傾向にあり、2013年は1.43と世界的に見ても低い水準となっています。出生率の低下には晩婚化といった生活スタイルの変化なども影響していますが、結婚した夫婦の多くは一人は子供が欲しいと願っているのも事実です。しかし、子供が欲しいのに妊娠できないと悩む女性も少なくありません。

結婚生活の中で、普通の夫婦生活をしていても2年以上妊娠がない状態は「不妊症」の疑いがあります。初産の90%は結婚して2年以内となっており、残りの10%が2年経っても妊娠していないとされています。晩婚化の傾向が強い近年は、30代半ばで通常の夫婦生活を送って1年以内に妊娠できない場合も、不妊症を疑って検査・治療を開始するケースもあります。

妊娠するための条件として、女性側では、月経が順調で、排卵がある、卵管の通過性があるなどが基本となります。男性側では、精液の中にいる精子の数や運動能力が十分にあることが条件となります。さらに、排卵期のセックスによって、子宮の頚管粘液や子宮内に精子が円滑に移動できているかも、妊娠に必要となります。これらのどこかに障害があると、妊娠は不可能となりますが、全て正常であっても妊娠出来ない場合があります。さらにホルモンの状態や、精密検査によって不妊の原因を突き止める必要があります。

大きな病院や大学病院には、不妊を専門に扱う不妊外来が設けられていますし、不妊治療を専門とするクリニックも少なくないので、不妊症を心配する方は早めに受診しましょう。女性の年齢が若いほど、不妊の期間が短いほど、治療によって妊娠可能となる可能性が高いからです。

不妊症の検査には色々ありますが、不妊症の原因として最も多いのは、排卵障害と卵管通過障害、そして男性の精子の異常ですので、通常はこれらの検査を優先して行い、その結果次第で、追加の検査を行います。まずは基礎体温測定検査(BBT)を最低でも2~3ヶ月以上記録して、排卵の有無を調べます。正常な月経周期で排卵がある場合は、月経後の明らかな低温相、その後、高温に移行し、月経期まで高温相になります。基礎体温のグラフが低温相ばかりだと、無排卵が疑われますし、高温相の型が凸凹で不安定だと、黄体機能不全が疑われます。

基礎体温とともに、排卵状態を調べるうえで重要なのが、頚管粘液検査です。正常に排卵があれば、頚管粘液は、透明で、糸を引くような粘り気があります。これを採取して、乾燥させてから顕微鏡で観察すると、植物の葉のような結晶が見られます。このような状態の頚管粘液は、精子の通過を助けて妊娠につながりやすくなります。この検査で、排卵の有無や卵巣の働き具合がわかります。

不妊症検査は夫婦一緒に行いますから、精液検査も早い段階で必要となります。精液検査の方法は、禁欲生活を5日くらい送った後、病院内や自宅で自慰行為を行って採取を行い、1~2時間以内に精液の量、運動率、精子濃度などを調べます。

一つの検査で異常が見つかっても諦めず、一連の検査を受ける中で、別の原因が発見され、それが不妊治療の決め手となる例もあります。検査だけでも、2~3ヶ月かかり、不妊治療には更に数ヶ月から念他院の時間が必要となることもあります。ある治療を受けたら、直ぐに妊娠できるわけではありません。たとえ、検査成績がよくなく、妊娠の可能性が低いとなっても、諦めないで一定期間は治療を続けましょう。病院を転々としても、以前の検査データは2年くらい過ぎるとあまり役に立たず、また検査を一から行う必要があるからです。