日本のHIV罹患率は低いものの、先進諸国の中では唯一増加傾向にあります

同性愛者の感染が多い

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染によって免疫不全状態に陥り、さまざまな日和見感染症や悪性腫瘍を基礎とした症候群で、エイズ発症後は治療を行わなければ5年以内に95%が死亡します。世界的に見て日本のHIV罹患率は低めですが、先進諸国の中では唯一増加傾向にあります。

HIVの感染源は患者やキャリアの体液(血液・精液・膣分泌液)、汚染された輸血・血液製剤などです。主に異性間、同性間のセックス、輸血・血液製剤や注射器の使い回しなどによって感染します。

HIV感染の経過は急性感染期、無症キャリア期、エイズ関連症候群期、エイズ期の4つに分類することができます。

HIVに感染すると、2~4週間の潜伏期の後に発熱、全身倦怠感などのインフルエンザに似た症状が現れます。HIVに対する抗体は陰性のため、血中には多量のHIVが存在しており、感染源となります(急性感染期)。

感染後6~8週間で抗体が陽性になると、血中のHIVは減少して数年~10数年間は無症候状態となりますが、患者の体内にはHIV感染細胞が存在しています(無症キャリア期)。続くエイズ関連症候群期はエイズを発症する前の段階で、発熱や全身倦怠感、リンパ節の腫れ、下痢、体重減少などが現れます。

エイズ発症期になると、HIVは免疫系を破壊して増殖し、免疫不全状態となります。ニューモシスチス肺炎、カンジダ症、結核症、サイトメガロウイルス感染症などの日和見感染症、カポジ肉腫、リンパ腫などの悪性腫瘍、脳症や認知症などの神経疾患が合併症として現れます。

HIV感染の治療は、作用点の異なる薬剤を多用する多剤併用療法によって薬剤耐性HIV変異株に対応させることが基本です。具体的には核酸系逆転写酵素阻害薬(ジドブジン、ジダノシンほか)、非核酸系逆転写酵素阻害薬(エファビレンツ、ネビラピンほか)、プロテアーゼ阻害薬(ロピナビル、アタザナビル)などが使用されます。この治療法によって、患者の延命は可能ですが、HIV感染を治すことはできません。