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若年層の女性に増加してるSTD(性感染症)の放置は不妊の恐れも

20代の女性に感染が蔓延しています

性感染症は、セックスまたは類似する行為を介することで病原体(細菌・ウイルス・原虫など)が、パートナー等に感染する病気のことで、AIDS(後天性免疫不全症候群)、性器クラミジア感染症、淋病、梅毒、尖圭コンジローマ、膣カンジダ症、B型肝炎、アメーバ症など多くの種類が存在しています。

性感染症は現在でもSTD(Sexually Transmitted Disease)と称されることが多いですが、症状が現れない不顕性感染者が感染源になっていることから、症状が現れるものも含めてSTI(Sexually Transmitted Infection)という名称で記載される機会が多くなっています。

最近の性感染症は若年層の女性患者数が増加しており、なかでも妊婦における性感染症は垂直感染によって胎児や新生児に結膜炎や肺炎などの悪影響を与えます。また将来子供を生みたいと思っている女性でも、子宮や卵巣に炎症を引き起こす性感染症を放置していると、不妊や流産・早産などの原因となってしまいます。

性感染症の予防対策としては、①不特定多数の相手との性行為を避ける、②コンドームは必ず着用する、③性行為の相手の泌尿器科あるいは性病科での診療・治療などが考えられます。ピルの使用は性感染症の増加を引き起こす原因となるので注意しましょう。

国内で最も感染者数が多い性器クラミジア感染症

子宮や卵管の炎症は不妊の原因

性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスの感染に起因して泌尿生殖器系、眼系、呼吸器系疾患を起こします。クラミジア・トラコマチスは元々、トラコーマという病で慢性角膜炎を起こすことで知られており、開発途上国では今日でも多くの失明者を出しています。

日本ではこの病原体による性感染症が問題となっており、淋菌感染症を抜いて最も患者数の多い性感染症となっています。またクラミジアに感染した妊婦からの垂直感染により新生児封入体結膜炎、乳児肺炎を起こすことがあります。

性器クラミジア感染症は1~3週間の潜伏期間を経て発症しますが、自覚症状がないことも珍しくありません。男性の主な感染部位は尿道で、尿道炎や精巣上体炎を起こします。自覚症状は軽い排尿痛や尿道の痒み、粘り気のある尿道分泌物が出る程度です。

女性の主な感染部位は子宮頚管で、子宮頚管炎、子宮内膜症、卵管炎などを起こし、不妊や流産の原因となります。自覚症状はおりものの量が増えたり、軽い下腹部痛が現れる程度です。

新生児封入体結膜炎は出生後の1~3週間の潜伏期間を経て、結膜充血、膿性分泌を伴い発症します。多くは軽症ですので、失明に至ることはありません。肺炎は、無熱性、鼻水や眼脂、軽度の咳で発症し、軽症ですが長引くことがあります。

性器クラミジア感染症は、特に女性で自覚症状が少ないため、パートナーや他の男性に病気を移してしまうケースがあるため、早期の検査と治療が肝心です。治療はマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗菌薬が有効ですが、女性が陽性の場合はパートナーも治療を並行して行わないと意味がありません。

デリケートゾーンの強いかゆみ、排尿痛、性器周辺のイボイボ、オリモノの異常といった「いつもと違う」自覚症状が現れたら、性病検査を早めに受けることが大切です。男性は泌尿器科・性病科、女性は婦人科、男女とも皮膚症状がある場合には皮膚科のある医療機関が選択肢となります。

淋菌感染症は性行為の多様化の影響で咽頭や直腸での発症が増加中

人の生殖器や咽頭に存在している淋菌(ナイセリア・ゴノレア)に起因して発症する病気で、セックスおよび類似行為(オーラルセックスなど)の接触感染が原因となります。一般的に男性は尿道、女性は子宮頚管に炎症を起こしますが、咽頭や眼の結膜も見られます。妊婦が感染している場合は新生児にも感染のリスクがあります。

淋菌感染症は2~7日間の潜伏期間を経て、多量の尿道分泌物、排尿障害、排尿時の痛みを伴う尿道炎などの症状が現れます。これらの症状は男性に多く見られるものの、女性では自覚症状がほとんどないケースのほうが多くなっています。

この他にも男性では副睾丸炎、前立腺炎を起こし、女性では子宮頚管炎、子宮内膜症、卵管炎、卵巣炎などを発症して不妊に至ることもあります。また若年層を中心とした性行為の多様化により、オーラルセックスによる淋菌性咽頭炎、アナルセックスによる直腸炎なども増加しています。

淋菌感染症の治療には抗菌剤を使用しますが、淋菌の多剤耐性化によって現在はセフトリアキソン、サフォジジム、スペクチノマイシンの投与が中心となっています。

膣カンジダ症は悪臭のあるボロボロしたおりもの増加、外陰部の痒みや痛みが特徴

カビの一種であるカンジダ・アルビカンスに起因する真菌症で、女性の多くが生涯に1回は発症するとされています。カンジダ・アルビカンス自体は健康な人でも皮膚、口腔、消化管、膣に常在しています。

通常は健康を害しませんが、膣内の酸性度の低下、抗菌薬の投与による菌抗体現象、免疫抑制薬や副腎皮質ステロイド薬の大量投与、糖尿病、免疫力の低下などをきっかけとして病原性を発揮する代表的な日和見感染菌です。

膣カンジダ症の主な感染経路は内因性の感染で、稀にセックスを介しても感染します。症状は女性の場合、外陰部の発赤、腫れ、痒み、灼熱感、痛みなどが現れます。またカッテージチーズ状のおりものの増加するのも膣カンジダ症の大きな特徴です。

男性の場合は包茎の人が感染しやすいとされており、亀頭のかゆみやただれなどの症状が見られます。治療にはイミダゾール系の抗真菌薬が使用されますが、使いはじめから短い段階で比較的症状が改善されやすいこともあり、医師の指示を守らずに薬の使用をやめてしまい、再発してサイド婦人科を受診する人が多いのもこの性病によるある話です。

また婦人科などを受診せず、自己判断で湿疹などのかゆみ止めとして使用される副腎皮質ホルモン入りの軟膏を薬局で購入して塗布するのは、炎症を悪化させるだけで外陰部のかゆみが増すだけです。デリケートゾーンを医師に見せるのは恥ずかしいですが、必ず医療機関へ行きましょう。

カンジダは抗生物質に対して抵抗力を備えています。そのため、病気の治療で大量の抗生物質を投与し、膣内でバリアの役割を果たしている細菌が死滅すると繁殖してきます。体力の低下時にも感染リスクが上昇するので注意が必要です。

女性の体の悩みは恥ずかしがらず、産婦人科に相談しましょう

悩みは女性医師に相談

女性には、おりものの異常、月経トラブル、性交痛、妊娠・出産、避妊、不妊症など、女性しかわからない心配や悩みが少なからずあり、誰しも一度は「こんなときはどうしたらいいの?」と思ったことがあると思います。

悩みの性質上、親や友人に打ち明けにくいケースもありますし、オリモノや月経は本人の健康な状態とどれくらい違っているかが重要なことが多く、他人と比べても意味がないこともあります。

こんなときに躊躇せずに産婦人科を受診した女性はあまりいないのではないでしょうか? 日本における産婦人科は、妊娠している人、結婚している人が行く診療科というイメージが強く、未婚の若い人はなかなか受診するまでいかないようです。

しかし、産婦人科は、女性の体特有の病気や症状を治療する診療科であって、性器だけを診るところではないのです。月経が始まっていない中学生、生理痛がひどい高校生が訪れてもよく、年齢に関係なく女性の悩みを相談できる頼もしい診療科なのです。

デリケートゾーンのさまざまな異常、不正出血、普通の夫婦生活を営んでいても子供を授からない、など体に心配な症状があるときは、一人でくよくよ悩まずに産婦人科に相談してみましょう。今は女性医師も多いので、男性医師には話しにくい悩みでも気軽に話せますよ。